防災製品の開発・試作と資金計画を象徴するビジネスイメージの写真
補助金・融資

防災製品を「作る側」への助成 — 東京都・課題解決型技術開発促進事業(令和8年度)の使いこなし方

2026年6月3日7分で読了

これまで本メディアは「BCP設備を導入する側」が使える補助金を数多く扱ってきた。だが、防災力の底上げには、防災製品そのものを生み出し、改良し、社会に普及させる「作る側」の事業者への支援も欠かせない。東京都には、防災・安全をテーマに製品や試作品を開発・実用化する都内中小企業を後押しする助成制度が用意されている。本記事では、令和8年度の中核制度となる「課題解決型技術開発促進事業」を軸に、その前身にあたる「先進的防災技術実用化支援事業」「安全・安心な東京の実現に向けた製品開発支援事業」の系譜も踏まえつつ、対象・助成額・助成率・エントリー期間・GビズID要件までを一次情報で整理する。

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1|「導入側」ではなく「開発側」への助成という発想

防災製品を試作・改良・実用化する事業者が主役

多くの防災・BCP補助金は、防災設備や事業継続のしくみを導入する側を支援するものだ。しかし東京都の製品開発支援は、防災・安全に役立つ製品や試作品をみずから開発・改良し、実用化・普及させる側に焦点を当てている。つまり「シェルターを買う事業者」ではなく「より安全なシェルターや防災機器を作るメーカー・技術者」が主な対象だ。

東京都中小企業振興公社の「先進的防災技術実用化支援事業」は、都市防災力の向上に向け、都内事業者が開発した防災製品等の改良・実用化を支援し、社会への普及を促進することを目的としてきた。災害(自然災害・事故災害)に加え、感染症対策なども対象に含み、製品の改良から先導的ユーザーへの導入、展示会出展まで段階的に支えるのが特徴だった。

※出典:公益財団法人東京都中小企業振興公社「先進的防災技術実用化支援事業」リンク

2|制度の系譜 — 防災単独から「都市課題まるごと」へ

先進的防災 → 安全・安心 → 課題解決型へと拡張

東京都中小企業振興公社の製品開発支援は、年度ごとに名称と守備範囲を変えながら発展してきた。流れを押さえておくと、自社が今どの窓口を狙うべきかが見えやすい。

「安全・安心な東京の実現に向けた製品開発支援事業」は、都内中小企業による『安全・安心』をテーマとする製品・技術の開発・改良・普及促進を支援し、産業活性化を実現することを目的とした制度で、開発・改良フェーズと普及促進フェーズの二段構えで助成する設計だった。

※出典:公益財団法人東京都中小企業振興公社「安全・安心な東京の実現に向けた製品開発支援事業」リンク

そして令和8年度は、防災・安全をふくむ複数の都市課題を一つの窓口でまとめて支える「課題解決型技術開発促進事業(試作品開発・改良助成)」が中核になる。防災は、この制度の支援テーマの一つとして位置づけられている。

制度名主なテーマ助成限度額(開発フェーズ)助成率
先進的防災技術実用化支援事業防災(自然・事故災害、感染症等)1,000万円2/3以内
安全・安心な東京の実現に向けた製品開発支援事業安全・安心1,500万円2/3以内
課題解決型技術開発促進事業(令和8年度)防災・介護・DX・暑さ対策2,000万円2/3以内

※出典:公益財団法人東京都中小企業振興公社「先進的防災技術実用化支援事業」リンク/同「安全・安心な東京の実現に向けた製品開発支援事業」リンク

3|課題解決型技術開発促進事業の中身(令和8年度)

最大2,000万円・助成率2/3、防災は4テーマの筆頭

令和8年度の「課題解決型技術開発促進事業(試作品開発・改良助成)」は、公益財団法人東京都中小企業振興公社が実施主体となり、都市課題の解決に資する製品・サービスの試作品(ハードウェア/ソフトウェア)の開発・改良に要する経費の一部を助成する。助成限度額は2,000万円、助成率は対象経費の2/3以内だ。

支援テーマは次の4つで、防災はその筆頭に位置づけられている。

  • 持続可能で安全・安心な東京の実現(防災・セキュリティ等)
  • 高齢者・障害者のニーズ対応/介護従事者の負担軽減(次世代介護機器・アクセシビリティ等)
  • DXの推進(業務効率化・自動化・データ活用等)
  • 暑さ対策(気候変動・暑熱環境管理等)

助成対象期間は令和8年12月1日〜令和10年8月31日(最長1年9か月)とされ、長期の試作・改良プロジェクトを想定した設計になっている。

※出典:補助金ポータル「東京都の課題解決型技術開発助成金【令和8年度】」リンク

項目内容
正式名称課題解決型技術開発促進事業(試作品開発・改良助成)
実施主体公益財団法人 東京都中小企業振興公社
助成限度額2,000万円
助成率対象経費の2/3以内
助成対象期間令和8年12月1日〜令和10年8月31日(最長1年9か月)
支援テーマ防災・安全安心/介護・高齢者障害者/DX/暑さ対策

※出典:補助金ポータル「東京都の課題解決型技術開発助成金【令和8年度】」リンク

4|エントリー(申請受付)期間 — 年2回のチャンス

第1回は6月、第2回は10月スタート

令和8年度の課題解決型技術開発促進事業は、申請受付(エントリー)が年2回設けられている。防災製品の試作・改良を計画している事業者は、開発スケジュールに合わせてどちらの回に出すかを早めに決めておきたい。

申請スケジュールと締切を確認する事業者のイメージ
申請受付(エントリー)期間
第1回令和8年6月4日(木)〜7月3日(金)17時
第2回令和8年10月9日(金)〜11月13日(金)17時

締切はいずれも17時までで、電子申請は締切直前にアクセスが集中しがちだ。GビズIDの準備(後述)と合わせ、余裕をもって着手したい。なお、申請要項の細部や年度途中の変更は公式で更新されることがあるため、最終確認は公社サイトで行うこと。

※出典:補助金ポータル「東京都の課題解決型技術開発助成金【令和8年度】」リンク

5|申請の前提条件 — 対象者・GビズID・Jグランツ

都内1年以上の中小企業+GビズIDプライムが必須

対象となるのは、東京都内で実質的に事業活動を行う中小企業者(1年以上継続、税金の滞納がないこと等)だ。前身の防災事業でも「東京都内に本店・支店を有し、実質的に1年以上事業活動を行っている中小企業者」が条件とされており、都内での事業実態が前提という点は一貫している。

用語解説:GビズIDプライムとは
国の電子申請システムで使う共通の事業者向けアカウント。法人・個人事業主が一つのIDで複数の行政手続にログインできる。発行には印鑑証明書などの書類提出と審査期間が必要で、申請直前に思い立っても間に合わないことがある。製品開発助成を狙うなら、エントリー期間より前に取得を済ませておくのが鉄則だ。

申請はJグランツ(国の電子申請システム)による電子申請で行い、その際にGビズIDプライムアカウントが必要になる。紙申請ではなく電子完結が基本である点に注意したい。

※出典:補助金ポータル「東京都の課題解決型技術開発助成金【令和8年度】」リンク/公益財団法人東京都中小企業振興公社「安全・安心な東京の実現に向けた製品開発支援事業」(対象者要件)リンク

6|助成対象経費と、防災メーカーの使いどころ

原材料・機械装置・委託費・人件費まで幅広くカバー

助成対象経費は試作・改良の実態に合わせて幅広く設定されている。課題解決型技術開発促進事業では、原材料費、機械装置・工具器具費、委託・外注費、産業財産権出願・導入費、直接人件費、専門家指導費、規格認証・登録費などが対象とされる。前身の先進的防災技術実用化支援事業でも、原材料・副資材費や機械装置・工具器具費、委託費が対象に含まれていた。

  1. 新型シェルター・避難設備の試作:構造材の原材料費や試作用機械装置費に充当
  2. 防災機器の改良開発:外部委託・外注費や直接人件費を計上
  3. 安全性の裏づけ取得:規格認証・登録費、産業財産権(特許等)出願・導入費に活用

「作って終わり」ではなく、認証取得や知財確保まで視野に入れて計画を立てると、助成枠を最大限に活かしやすい。

※出典:補助金ポータル「東京都の課題解決型技術開発助成金【令和8年度】」リンク/公益財団法人東京都中小企業振興公社「先進的防災技術実用化支援事業」リンク

まとめ

この記事のポイント
1. 東京都には防災製品を「作る・実用化する側」を支える助成があり、令和8年度の中核は「課題解決型技術開発促進事業(試作品開発・改良助成)」。
2. 助成限度額は最大2,000万円、助成率は対象経費の2/3以内。防災・安全安心は4つの支援テーマの筆頭。
3. 申請受付は年2回。第1回は令和8年6月4日〜7月3日17時、第2回は令和8年10月9日〜11月13日17時。
4. 申請はJグランツによる電子申請で、GビズIDプライムアカウントが必須。発行に時間がかかるため早めの準備を。
5. 対象経費は原材料・機械装置・委託費・人件費・規格認証・知財出願まで幅広い。認証や特許取得まで織り込んだ計画が有利。

WiZNAVIでは、防災・BCPに関する補助金・助成金の最新動向を継続的に追い、「導入する側」だけでなく「作る側」の事業者にも役立つ実務情報を発信していく。本記事の金額・締切・要件は確認時点のものであり、申請にあたっては必ず東京都中小企業振興公社の公式サイト(助成金一覧)で最新の募集要項を確認してほしい。

WiZNAVI 編集部

国土強靱化・防災ビジネスに特化した専門メディア「WiZNAVI」の編集チーム。政策動向、市場分析、補助金情報、導入事例など、ビジネスパーソンの意思決定に役立つ情報を配信しています。